ここでは、特に競技エアロビクスにおける腿裏の張りについて考えていきましょう。
マラソンなどの走る動作による腿裏の張りにも役に立ちます。
腿裏の張りとは何でしょうか?
具体的な筋肉で言うと、ハムストリング(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)の張り、ということになります。
競技エアロビクスでは、脚を股関節の可動域を最大限まで使って、前にも横にも上げたり広げたりする動作が高頻度に行われています。
そして、ハムストリングや腿の内側の筋肉が目一杯引き伸ばされ、さらに、目一杯引き伸ばされたところから瞬発的に収縮して、上げたり広げたりした脚を元に戻したりするわけですから、非常に強い負荷がかかります。
筋肉が力を発揮する様式に、
○ 筋肉が短くなりながら力を出す、コンセントリック収縮(concentric contraction)、
○ 筋肉が長く伸ばされながら力を出す、エクセントリック収縮(eccentric contraction)、
があります。
腿の前側の大腿四頭筋で例えると、
○階段を上がる時は、大腿四頭筋は短くなりながら力を出して、膝を伸ばしていきます(コンセントリック収縮)。
○階段を下りる時は、大腿四頭筋は長く伸ばされながら力を出して、膝が曲がりながら体を支えています(エクセントリック収縮)。
さて、問題。
階段をずうーっと上がりっぱなしと、ずうーっと下りっぱなし、
どちらが筋肉痛になりやすいでしょうか?
答えは、
実際に試してみてください(笑)
・・・という冗談はさておき(笑)、
下りっぱなしの方になります。
筋肉が引き伸ばされながら力を発揮した後の方が筋肉痛が起こりやすく、
しかもこのタイプの筋肉痛は、遅発性筋肉痛といって、
少し時間がたってから、出やすいのです。
これは、筋繊維組織の微小な損傷によって起こるもので、修復には2、3週間かかるようです。
そして、修復されることにより筋肉は強化されていって、筋肉痛が起こりづらくなっていきます。
ところが、競技エアロビクスでは、ハイキックなど、ハムストリングのエクセントリック収縮の連続です。
この修復が間に合わないまま、練習が積み重なることで、ハムストリングは硬くなっていき、ストレッチをしても全く伸びなくなってしまうことがよくあります。
これが、腿裏の張りの原因の1つです。
運動の制限が大きすぎるものは少しハムストリングのエクセントリック収縮を休めて、制限のない範囲で動かしながら休めていったほうがよいと思います。
完全に休めてしまうと、せっかく強化された筋肉が弱くなってしまい、また動かし始めた時に、同じ状態になってしまうという繰り返しになってしまいます。
運動制限がそれほどでもなければ、ウォーミングアップをじっくり行っていくとよいでしょう。
このハムストリングの張りの改善方法としては、
とにかくストレッチをゆっくりゆっくりジワジワと時間をかけて行うのが、基本になります。
ところが、張りが強くなり過ぎてしまっていると、もう全然伸びなくなって、痛いし、突っ張ってしまって緩まない状態になっていることもよくあります。
こういった場合、先にハムストリングを収縮させる方法を使います。
マシンがあれば、レッグカールやレッグプレス(軽め)、
自体重であれば、仰向けで膝を立ててお尻を持ち上げるヒップリフト、
などがよいでしょう。
こうした軽めのトレーニング、ストレッチ、トレーニング、ストレッチとセットを重ねながら、
少しずつ筋肉を伸ばしていきます。
筋肉を先に収縮させてあげると、緊張が抜けやすくなり、
同時に筋肉も温まってくるので、段々と伸びてくるようになります。
ただそれでも、張りがもっと強い場合は本来の可動域に戻るまでには時間がかかるかもしれません。
この場合、アイシングを活用する方法があります。
アイシングをして感覚をなくし、ストレッチをしていく方法もあるようですが、
自分で行うには難しいと思いますので、この方法は専門家にみてもらった方がよいかもしれません。
自分で行うのは、シンプルなアイシングです。
この効果はあなどれません。
かなり効果ありです。
必ず氷を使ってください。
氷であれば溶けるので、凍傷することはまずありません。
ビニールの中で氷を綺麗に並べます。
そしたら、ビニールの中の空気を吸い込んで、氷の真空パックを作ってください。
板チョコのように、平らな形になります。
それを腿裏に当てて、包帯でグルグル巻きにします。
そのまま一晩寝てしまいましょう。
朝起きると、氷は体温ぬるぬる水になっています。
漏れないようにビニールを2重にしておいてもいいでしょう。
もちろん、氷嚢でもOKです。
すると、腿裏の筋肉の張りがかなり取れてゆるゆるになります。
そのままでは、筋肉が動きづらい感じかもしれませんので、熱めのお湯でよく温めてください。
かなり張りは取れてきます。
今の冬の寒さにアイシングはちょっとつらいかもしれませんが、効果は大きいと思います。
腿裏の張り@は、筋の生理的な部分での原因の説明と対策法でした。
しかしこれだけでは、足りません。
腿裏の張りなのですが、実は、腿裏以外にも原因があるのです。
その話はまた次回Aへ・・・
それでは


