私はこの約18年間、毎日毎日、デカいリュックを背負っている。
フリーのインストラクターバリバリの時は、これからどこの山へ行くのかと聞かれそうなほど、デカいリュックだった。
当時、最終に近い電車で家の最寄り駅に到着すると、深夜2時まで営業しているモスバーガーで閉店近くまで勉強した。
当然、帰る頃にはバスもなくなっているので、そのデカいリュックを背負って家まで徒歩30分、黙々と夜道を歩いたものだ。
レッスン3、4本をこなし、競技の練習とトレーニングで3、4時間ほど身体を追い込んで、たっぷり勉強して、グッタリした状態で…。
私は、「できない」とか「無理」とかいう言葉が嫌いだ。
だけど、今はもうそんなことできない。無理だ。
その頃に比べれば、今のリュックなど全然小さい。
それでもまだ、これからどこかへ行くのかと、言われかねない雰囲気の大きさではある。
私の今の家は、最寄り駅まで徒歩4分。
秋葉原も浅草も徒歩15分で行けるし、日本橋やスカイツリーも歩けば40分弱で行ける。
都内中心近くに住むシチィボーイだ。
そういえば、15、6年前に茅ヶ崎に半年間ほど住んでいたことがある。
半年間だけ、湘南ボーイだ。
しまった、もうボーイではなかった。
ここ最近、スカイツリーで観光客も増えて来た。
いつも乗っている電車に乗客が明らかに増えた。
デカいリュックを背負っている私は、どう見ても旅行者っぽい。
数年前、銀座のユニクロに行った時のこと。
買い物を済ませ、お店を出たところで、いかにも就職活動スーツを着た大学生の女の子に、研究の調査みたいなもののアンケートを頼まれた。
たしか経営学部のゼミか何かだった。
もちろん、その時もデカいリュックを背負っていた。
その大学生は、明るく爽やかな感じで好印象ではあるが、まだ人生経験も人間観察力もそれほどなさそうである。
彼女は、半ば確信をもって私にたずねた。
「旅行ですか?」
・・・

そう質問したくなる気持ちはよくわかるよ。
よくわかる…。
『いや、全然ちげーよ、仕事道具が詰まってるんだよ。18年間、毎日のように背負ってきたんだよ。18年間の血と汗と努力の重みが詰まってるんだよ・・・。』
と訳の分からない思いと、質問をすごく否定したい気持ちにかられながらも、その感情を抑えた。
そして、銀座まで電車で10分の所に住んでいる私はつい思わずこう答えた。
「いえ、地元です・・・。」
・・・・(笑)
posted by うだけん院長 at 22:25|
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